東京大学発ベンチャー、バイオ化学品の開発・ゲノム解析を手がけていた「ジナリス」な

 (株)ジナリス(TDB企業コード201950511、資本金3億2167万5000円、神奈川県横浜市鶴見区小野町75-1、代表西達也氏)と、2015年5月に会社分割により設立された(株)ジナリスオミックス(TDB企業コード683015657、資本金800万円、同所、同代表)は、7月11日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。

 破産管財人は清水知彦弁護士(東京都千代田区有楽町1-6-1、清水国際法律事務所、電話03-3539-1744)。

 (株)ジナリスは、大手医薬品メーカーの研究者だった現代表が、生命科学と情報科学の融合によって人々の健康と自然環境保全に貢献することを目的に、2002年(平成14年)1月に設立。バイオ関連のベンチャー企業としてベンチャーキャピタルの出資や各種補助金を活用しながら、微生物のゲノム解析を中心としたバイオIT事業や、フタル酸類やバイオマスから化学品を製造する技術開発を行うバイオケミカル事業を手がけ、2015年8月期の年収入高は約3億円を計上していた。

 技術は顧客から高く評価され、ゲノム解析分野では大学・研究機関だけでなく、製薬会社など民間企業にも多数の顧客を持っていた。また、廃棄プラスチックの再資源化システム「バイオアップサイクル」分野は、これまで培ってきた微生物の発酵法であるバイオプロセス法と、得意とするインフォマティックス技術を融合させた当社独自技術で競合がみられないなど、その将来性は大きく期待されていた。
 
 しかし、ベンチャー企業としての性格上、多額の研究開発投資が先行。大幅な累積損失を抱え、財務面は脆弱な状態が続いていた。厳しい資金繰りが続くなか、事業化の大幅な遅れにより新たな資金導入が困難となったことで事業継続は困難と判断し、今回の措置となった。
 
 負債は (株)ジナリスが債権者約77名に対し約3億4600万円、(株)ジナリスオミックスが債権者約42名に対し約2億5200万円、2社合計で約5億9800万円。