米大統領選 トランプ氏を祝福 戦い終わり共和党内に傷残る

 【クリーブランド=加納宏幸】赤、青、白の風船と紙吹雪が会場に降り注ぎ、米共和党大統領候補の不動産王、ドナルド・トランプ氏が家族や副大統領候補でインディアナ州のマイク・ペンス知事とともに感極まった表情で会場に手を振る。11月の本選に向けたトランプ氏の門出を祝福する代議員とそれを冷めた目で見つめる代議員。17人が乱立した戦いは終わったが、党内に傷を残した。

 長女のイヴァンカさん(34)の紹介で登壇したトランプ氏は指名受諾演説で民主党のヒラリー・クリントン前国務長官(68)を破る決意を表明した。「11月にはクリントン氏を打倒しよう」とトランプ氏が声を上げると、代議員らは「USA! USA!」のかけ声で応じた。

 徒手空拳で異例ずくめの指名争いを戦ったトランプ氏は演説を「大統領の資質」を披露する場として重視。イヴァンカさんらと会場を入念に下見した。

 政治経験なしで二大政党の候補になるのは1952年大統領選での第34代大統領のアイゼンハワー以来。メキシコとの国境に「壁」を築くと公約したトランプ氏にとり、経験豊富なクリントン氏はその前に越えなければならない壁だ。

 大会に欠席した重鎮も少なくなく、トランプ氏には党内の結束固めが求められる。指名争いでは「イスラム教徒を入国禁止にする」などの発言で共和党員の支持を得たが、無党派層も相手の本選では大統領らしい振る舞いも必要だ。